(ポスター掲示場に掲示するポスターの記載)
第百四十四条の四の二 第百四十四条の二及び前条の掲示場に掲示する第百四十三条第一項第四号の三及び第五号のポスターには、その表面に、当該ポスターを使用する公職の候補者の氏名を、選挙人に見やすいように記載しなければならない。
2 公職の候補者は、その責任を自覚し、第百四十四条の二及び前条の掲示場に掲示する第百四十三条第一項第四号の三及び第五号のポスターには、他人若しくは他の政党その他の政治団体の名誉を傷つけ若しくは善良な風俗を害し又は特定の商品の広告その他営業に関する宣伝をする等いやしくも当該掲示場に掲示される当該ポスターとしての品位を損なう内容を記載してはならない。
公職選挙法第144条の2
選挙運動用ポスターの掲示場の設置基準が定められています。以下、条文の要点を整理します。
📌 主な内容
1.設置義務と掲示場の数
地方公共団体の選挙管理委員会は、公の見やすい場所に選挙運動用ポスター掲示場を設置しなければなりません。設置数は条例等で算定された基準に沿い、少なくともその数は確保される必要があります 。
2.掲示期間と方法
• 候補者は、事前に選挙管理委員会が告示する日から掲示期間中、1人1枚まで掲示可能です。
• 貼り替えは自由(掲示場数を超える枚数を掲示しても可)です 。
3.例外事由
• 天災や事故など「やむを得ない事情」があるときは掲示場の設置を省略でき、また掲示中に設置を取りやめる場合も可能。その場合、直ちに告示する義務があります 。
📝 背景と目的
この条項は、選挙運動用ポスターの掲示場所を公平かつ公共的に管理し、特定候補者による掲示場所の独占や不当な競争を防ぐための規定です。
✅ 補足:「無投票当選と補償」の報告
関連する資料では、無投票となった場合に掲示場等の準備をしていた場合、掲示場使用や業者との契約解除に関わる補償費が発生した場合、それが損害賠償額の決定に該当し、議会決議が必要であることが示されており、掲示場設置にも議会手続きの関与があることがわかります 。
✅ まとめ

公選法 第143条 第1項 第4号
• 趣旨
候補者やその支持者が、選挙運動のために使用できる「文書図画(ポスター、立札、看板など)」について、掲示可能なものを具体的に限定する条文です。
• 第1項の要旨
公職選挙法143条第1項では、選挙運動に際して掲示を許される文書図画を列挙しています。その中で第4号は、特定の種類の「文書図画」に関して、その掲示が許可されている旨を定めます 。
第4号で掲げられる文書図画の種類例
高知市選挙管理委員会の解説によると、143条で掲示可能とされる主な文書図画の例には以下が含まれます :
1. 選挙運動用ポスター
2. 選挙事務所で使うポスター・立札・看板・ちょうちん 等
3. 選挙運動用自動車等に取り付けるポスター・立札・看板・ちょうちん 等
4. 候補者が使用する「たすき」、「胸章」、「腕章」 等
5. 演説会開催中に使用するポスター・立札・看板・ちょうちん 等
6. 演説会告知用ポスター
第4号は、このような文書図画のうち該当するものについて、選挙運動として掲示が認められる、と定義しています。
⚖️ 役割と意義
• 法的な枠を明確化
何が「選挙運動用」として掲示できるかを条文で具体的に示し、過度な広告宣伝や不当表示を抑制。
• 運営上の透明性確保
選挙管理委員会が掲示物の内容・形式や掲示期間をチェックしやすくし、公正かつ秩序ある選挙運動を支える仕組みになっています。
補足情報
• 掲示物のサイズ・数の制限
候補者・後援団体単位で掲示できるポスターや看板の大きさや枚数に規制があります(例:事務所ごとの設置数、サイズ制限等) 。
• 証票(シール等)の掲示
立札や看板には選挙管理委が交付する証票の添付が義務付けられています 。
• 禁止区分との明確な対比
他方で第146条などでは、あいさつ状や年賀状など、選挙運動ではないように見えて実質選挙運動となる行為が禁止されており、143条はその線引きに重要な役割を果たします 。
✅ まとめ
• 第143条第1項第4号では、選挙運動のために掲示して良い「文書図画」の種類を具体的に列挙。
• これにより、掲示物の形式・場所・使用目的・期間などが法的に明確化され、公正な選挙運動を担保しています。
第143条第1項第5号
この号では、以下に該当する文書図画の掲示を許可しています :
• 演説会開催中に使用するポスター、立札、看板、ちょうちんなど
つまり、個人演説会や街頭演説などの場で、演説会の開催中に限って使用が認められる掲示物が、第5号に該当します。
🎯 なぜこの規定が重要か?
ポイント 内容
選挙運動用掲示物の種類明示 「どのような場面で掲示が許されるか」を具体的に規定し、選挙運動の形式に応じた整理をしています
掲示の場面と期間の限定 常設のポスター掲示場とは異なり、「演説会開催中に限る」使用であるため、通常の選挙運動用掲示と混同されにくく、違反の抑止につながります
📌 他の項目との整理
公選法第143条第1項では、以下のように文書図画の掲示可能範囲を整理しています :
1. (1) 選挙事務所の表示
2. (2) 諸掲示(演説会会場外など)
3. (3) 選挙運動用自動車等への掲示
4. (4) 候補者が身に着ける表示(たすき・腕章など)
5. (5) 演説会開催中の掲示物(今回のご質問)
6. (6) 演説会告知用ポスター
📘 まとめ
• 第5号は、「演説会開催中に使用するポスター・立札・看板・ちょうちん等」を対象とする規定です。
• 使用できるのは演説会開催中のみで、終日の常設掲示とは異なる扱いです。
• このように文書図画の使用場面を細かく分けることで、選挙運動の方法やその許容範囲を明確に区別しています。
公職選挙法第144条の4の2自体には罰則規定は設けられていませんが、関連する条文(第235条の3第2項)において、この規定違反への罰則が次のように定められています:
⚖️ 罰則の内容
営業宣伝目的でポスター掲示場に掲示した場合、以下の罰則が適用されます:
• 対象:特定の商品の広告その他営業に関する宣伝を行った者
• 罰 則:100万円以下の罰金
🏛️ 背景と改正の経緯
• この規定は、令和7年(2025年)5月2日施行の法改正により追加されたものです 。
• 改正の目的は、「ポスターの品位保持」を図ること。候補者の名前の記載義務も新設され、かつ公序良俗や営業に関する露骨な広告の排除が強化されました 。
✅ まとめ
ポスターに営業宣伝(商品広告等)を掲載した場合 第235条の3第2項 100万円以下の罰金
📌 参考:第144条の4の2自体はポスターの内容義務に関する規定であり、罰則は第235条の3第2項に明記されています。